食品添加物は悪者?それとも…?
とかく危険視される食品添加物。「コンビニの食品は添加物まみれ」とか「諸外国に比べ許可されている添加物が多い」…などという発言も多く聞かれます。一方で、現代の食料の生産、供給のシステムには必要という意見も多いと思います。
「食経験」という言葉があります。「食経験」とは、長い間の人々のトライアンドエラーによって蓄積されてきた知識のこと。つまり、私たちが食べていいものと食べてはいけないものは、悪いものを食べて病気になったり、命を落としたりした人々のおかけで、見分けがつくのです。
食品添加物の多くは、長い食経験の中で選択されてきた食材とは異なります。でも、だからこそ、国(厚生労働省)は、内閣府の食品安全委員会に意見をきき、必要に応じて検査等をし、安全性を確保できたものだけを認可しているのです。
食品安全委員会は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行う目的で、平成15年7月1日に、内閣府に設置された機関です。
…とはいえ、食生活は人それぞれ。国の基準が100%正しいかどうか、不安は残りますよね?宅配食をサブスクリプションで買って、毎日あるいは頻繁に食べる方は特に気になるのではないでしょうか。私は、漠然と怖がるよりも、食品添加物のことをできるだけよく知って、自分で食べるものは、「国の基準×自分の基準」で決めるのがベストだと思っています。
食品添加物を使う目的は
食品添加物は、食品衛生法で「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、 食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」と定められています。
つまり、「長期保存を可能にする」「味を整える」「色や香りをつける」という目的で使っているということです。
人は昔から、食べ物を長期間保存したり、美味しく食べる工夫を重ねてきました。塩蔵したり、燻製にしたり、発酵させたり…あくなき探究心で食品の加工技術を磨いてきたのです。食品添加物も、そういった技術開発の延長線上にあると言えます。
ただ、種類も増え、加工の仕方も複雑になって、口に入る頻度も上がっているので、いくら個々の添加物が安全とはいえ心配になります。
また、あまり語られないことですが、健康に与える影響ばかりでなく、添加物に慣れてしまって食品が本来持つ味や香りに鈍感になったり、添加物の影響で美味しくないと感じるなどという、弊害もあるのではないでしょうか。
食品添加物の分類
指定添加物(474品目)
指定添加物とは、安全性を評価した上で厚生労働大臣が指定したもの。(例:ソルビン酸、キシリトール)
既存添加物(357品目)
既存添加物とは、既に使用されていて長い食経験があり、指定を受けることなく使用・販売が認められたもの。(例:クチナシ色素、タンニン)
天然香料(約600品目)
動植物から得られる天然の物質で、食品に香りをつける目的で使用されるもの。(例:バラ香料、カニ香料)
一般飲食物添加物(約100品目)
一般に飲食に供されているもので、添加物としても使用されるもの。(例:イチゴジュース、寒天)
確かに、数はとても多いですね!!
*品目数は、厚生労働省の概要説明PDF、日本食品添加物協会のHPより。
こんなにある!食品添加物の主な種類と用途
下記は食品添加物の種類と用途の例です。
- 甘味料:甘みを加える
- 着色料:色を着ける
- 保存料:カビや細菌などの発育を抑制し、食品の保存性を向上させる
- 増粘剤、安定剤、 ゲル化剤:滑らかさや粘り気を与え、安定性を向上させる
- 酸化防止剤:油脂などの酸化を防ぎ、保存性を向上させる
- 発色剤:ハム・ソーセージなどの色を良くする
- 漂白剤:白く、きれいに見えるように漂白する
- 防かび剤:かびの発生を防止する
- 香料:香りを付ける
- 酸味料:酸味を与える
- 調味料:うま味などを与え、味を整える
- 乳化剤:水と油を混ぜ合わせて滑らかにする
- pH 調整剤:pH を調整し、保存状態を良くする
- 膨張剤:ケーキなどをふっくら、ソフトにする