子どもでも簡単に使える電子レンジだけど…
冷凍食品は、電子レンジで加熱するだけですぐに食べられるのが魅力。帰りが遅くなったり、「仕事でクタクタ〜ご飯の用意する気力ない〜」なんていうとき、本当に助かります。
私は、子どもが小さい頃はフルタイムで会社勤めをしていたので、例えば夏休み期間など、家にいる子どものご飯をどうするかがいつも大問題でした。最近は冷凍惣菜やお弁当のレベルが上がっているので、いろいろ使えて便利ですね。電子レンジでチンするだけなら子どもでも加熱調理できます。
だけど、電子レンジをひんぱんに使う時に心配なのが電磁波。電子レンジは家電のなかでも特に電磁波をたくさん発生させる機器として有名です。
スマートホンやパソコンも頻繁に使っているし、「電磁波過敏症」が増えているらしいし、不安になりますよね。
電磁波過敏症とは
電磁波は自然界にも存在しますが、現代人の生活は、電磁波を出す電気機器などに取り囲まれています。
人間の体にも微弱な電流が流れているため、強い電磁波によって影響受けてしまうのです。それによってさまざまな症状がでるのが「電磁波過敏症」です。
頭痛や吐き気呼、呼吸困難、動悸。酷くなると、うつ症状や記憶障害がおこることもあり、そうなると日常生活にも支障をきたします。
もし、自分がなったら、あるいは自分の子どもがなったら…と思うと、怖いですよね。
電磁波の安全基準
電磁波とひとことで言っても、電波、紫外線やX線・γ線、可視光線、赤外線など、種類はいろいろ。電磁波の基準値もたくさんあって複雑です。
電子レンジ・IH調理器などの家電製品からの発信波や、テレビ・ラジオなどの受信波、スマホ・PCなどの送受信波などは、「電波」というカテゴリーに含まれます。
電子レンジの話なので、ここでは電波のことだけ書きますね。
製造側で使う電波の安全基準は、「SAR」という基準に基づいています。SARは、人体が電磁波を浴びたとき、「熱作用」で体温が上がり、どれだけ健康に影響するかの指標で、国際的に採用されている基準です。
・職業環境SAR<0.4 W/kg
・住居環境SAR<0.08 W/kg
しかし、測定方法が煩雑なので、かわりに以下の4つの数値で電磁波の抑制具合を確認しても良いことになっています。
・電界強度 E [V⁄m]
・磁界強度 H [A⁄m]、
・電力束密度 S [mW⁄cm^2 ]
・磁束密度B [T]
一方、製品を使う側の電磁波安全基準については、一般社団法人 日本電磁波協会「EMFA」が以下のセーフティガイドラインを公開しています。以下がその数値です。
・電場基準:25V/m(ボルト・パー・ネーター)以下
・磁場基準:2.5mG(ミリガウス)(0.25μT)以下
電子レンジの電磁波はどのくらい?
では、電子レンジはいったいどのくらいの数値なのでしょう。
家電製品では、電場よりも磁場の方が人体への影響が強いため、磁場で測定されることが一般的なようです。公開されている測定データを調べると、電子レンジは、80mG〜200mGくらいの数字が出てきます。
2.5mGよりはるかに大きい数値ですが、これは稼働時の内部の測定値であって、心配なのは漏れ出ている数値です。
電子レンジは、電磁波の遮断措置として、たいてい、前面のガラス面にメッシュや穴あきの金属板が貼られています。それで電磁波は漏れていないことになっていますが、実際には少し漏れているようです。
ある測定では、電子レンジ前面から10cm離れたところで9.4mG(*)という値が出ていたそうです。
(*)1級電磁波測定士の中川尚様の測定データです。掲載許可をいただいています。
電子レンジの前後左右、4面で測ったデータ
「なんでも電磁波測定所」というところが、電子レンジの4面、しかも電子レンジからの距離も少しずつ変えて測定されていたので、貴重なデータの掲載許可をいただきました。
こちらは、「電力束密度 」で測られていますので、単位はmGではなく、「mW/cm2」になっています。
漏洩マイクロ波に対する規制値としては、電気用品取締法で5cm離れたあらゆる箇所で「1mW/cm2以下」とされています。ちなみに1mW/cm2は、1000μW/cm2です。
測定結果は以下の図をご覧ください。左右と背面はほとんで漏れておらず、前面だけが高い数値でした。ただし、規制値の1000μW/cm2には、全く達していませんでした。
結論:電子レンジの前に立つべからず
電子レンジは、家電の中でも電磁波が高い機器ですが、規制値を守って製造されているので、普通の使う分には問題はありません。
電気毛布や電気カーペット、パソコンなど長時間使うものに比べて、使用時間が短いこともあり、健康被害の心配もさほど要らないと思います。
ただ、生活の中で、他の機器や環境からも電磁波の影響を受けていることを考えると、少しでも避けられるものは避けたいですよね。だとすると、注意点は2つ。
電子レンジ稼働中は、
・電子レンジの前に立たない。(なるべく離れる)
・電子レンジの中を覗き込まない。
お子さまが使う時も、これだけは注意してくださいね。